人生ではよく「好きなもの」を聞かれる。
小学生の時に流行ったプロフィール帳に載っていたり、大学生になって新しい友だちとお互い自己紹介し合う時など、その機会は何歳であろうと散りばめられてきた。
「好きな芸能人は?」「好きな色は?」「好きな動物は?」
わたしはこの質問が苦手だった。
こういうよく聞かれる項目において、特に好きなものがないのだ。
しかし、絶対に聞かれないだろうなというものに限って自信を持って答えられるものがあったりする。
今日はわたしが用意しているうちのいくつかを紹介しようと思う。
「好きな古典作品は、枕草子です。」
枕草子は古典の中でもたいそうお気に入りである。
清少納言が、感じるままに物事を羅列しているのになんとも言えないほどのよさを感じる。
例えば、「すさまじきもの」。
キャシー語訳になるが、確かこんな内容だったはずだ。
ちょっと間違ってても許してほしい。
「まじでしょーもないやつ。昼吠えてる犬とか、季節外れの道具だったり着物だったり。しょーもなすぎる。めっちゃ張り切って手紙書いてデコったのに、受取人不在でしたとか物忌みだから無理とか言われてボロボロで帰ってくんのまじでありえん。あと、知らせが来た瞬間一緒に祝おうって、今年こそは役職ゲットしそうな人ん家行くんだけど、いつまでたっても知らせ来なかった時とかしょーもない。みんなポツポツ帰ってくのめっちゃあーあ、って感じするよね」
こうやって叙述してるパートだけでなく、物語パートも好きだ。
「二月のつごもりほどに」のワンシーンがお気に入りである。
そこに至るまでの流れがこうだ。
「藤原公任さまが下の句をよこしなさって、上の句をわたし(清少納言)につけなさいって。なんかすごい人たくさんいるらしいし緊張するな、どう作ろう。中宮さまはお取り込み中だからアドバイスもらえないし…。やばい、急かされた。もう作っちゃおう!」
この先が共感できてとても好きだ。
「これがことをきかばやと思ふに、そしられたらば聞かじとおぼゆる」
「皆様がなんて思ったか聞きたいなって思うけど、ディスられてたら聞きたくないわ〜って感じ」
作り手としてこれは非常に共感できる。
結構自信家なイキリキャシーだが、ディスられるのに耐性はない。
たしかによりいいもののためには批判を受け止めなければならないのだが、それでも自分が作り上げたものを否定されるのは、感性を否定されたようで心苦しい。
「もう一つ、平家物語も好きです。」
というよりは平家物語の冒頭がたいそう好きだ。
これに関しては、平家物語の記事を読んでいただきたい。
平家物語の記事↓
sasakama-cornedbeef.hatenablog.com
さて、古典作品だけでこんなに語ってしまった。
これはシリーズ化するとしよう。
というわけで、次は「好きな論」編である。