笹かまコンビーフ

イキリキャシーが、どうでもいいことを毎週金曜に綴るだけのブログ

イキリキャシー(5)が恐れたもの ~夢編~

 

わたしは基本、自分が見た夢を覚えていない。

 

夢が織りなすシュールでわけのわからない世界観は大好きなので、覚えていられないことが残念だ。

 

友人から聞いて楽しんだり、珍しく覚えていられたときは詳細に書き記したりしている。

 

そんなわたしが今でも覚えている夢について書こうと思う。

 

確か幼稚園の頃だったと思う。

 

気づいたらわたしは芝生の上にいた。

 

そして目の前には笑顔のミッキーマウス

 

何も言わずにひたすらゴルフをしながら笑顔で近づいてくるのである。

 

大人はミッキーマウスの闇、なんてネタでよく盛り上がるが、子供にとって笑顔のミッキーはただの愉快なネズミだ。

 

にもかかわらず、子供であったはずのわたしはなぜか恐怖に包まれた。

 

笑顔でボールを打ちながら少しずつ迫ってくるなんてシュール極まりないが、その頃のわたしはシュールさを楽しむ余裕も感性もなかった。

 

大人びていたとはいえ、5歳である。

 

しかしボールが当たるかもしれないという恐怖ではなく、ミッキーの笑顔そのものに恐怖を見出した。

 

あれがもう少し人間味ある表情だったり親しみを持てる存在だったりしたら、あそこまでの恐怖は抱かなかっただろう。

 

5歳とはいえ、大人びている。

 

迫りくるミッキーマウスの悪夢から目を覚ましたわたしは、急いで母のもとへ行った。

 

SOS要請を受けた母は丁寧にわたしをベッドに送り返し、

 

「目閉じて5数えたらいなくなるからね」

 

とアドバイスをくれた。

 

しかし幼少期のイキリキャシー、笑顔のミッキーを前にして母すら信じられず、

 

「いなくなる?本当に?」

 

と問い詰めた。

 

夢から覚めている時点でいなくなっているはずなのだが、リアルすぎたのかまだいるような気がしてならなかった。

 

「いなくなるから、目閉じて」

 

そう説得されたわたしはミッキーにおびえながら目を閉じて5秒数えた。

 

目を開けると、当たり前だがミッキーはいない。

 

先ほども言ったが、ミッキーは夢から覚めてる時点でいなくなっているのである。

 

それでも目を開けたらミッキーが消えたことにわたしは感激した。

 

チョロい5歳児である。

 

わたしは母にお礼を言って、再び眠りについた。

 

普段は数時間ですら覚えていられないのに、二十年近く覚えているんだから相当衝撃を受けたのだろう。

 

この調子でもっと夢を覚えていられるようになりたい。