リア充だのソロ充だの、世の中にはわけのわからない充が多すぎる。
リア充の本来の定義は、
「リアルが充実している」
だったはずだ。
それがいつの間にか
「パートナーがいること」
に変わっていた。
パートナーがいなくたってリアルは充実するものである。
少なくともわたしはそうだ。
パートナーがいないからといって
「リア充爆発しろ」
なんて言ったら、自分も爆発してしまう。
ノリで言うこともあるが、どこか違和感を覚えているというのが現状だ。
ソロ充という言い方も、リア充の対義語として扱われているような気がしてならない。
「あの人、1人で出来るんだってー。うわぁー」
のような雰囲気も気に食わない。
やらなければならないことから解放されて、好きなだけ寝て、1人のんびりYouTubeを見たりゲームをしたりする時間が必要な人間だっているのだ。
外出だって、自分の好きなものを好きなように買いに出かけたり食べに出かけたりして、存分に堪能したい。
わたしが人に合わせないと、人がわたしに合わせることになる。
それも申し訳ない話だ。
別に人が嫌いなわけではない。
ただ、1人の時間も必要というだけだ。
むしろ、ソロ充とリア充は似た概念ではないだろうか。
とまぁ、そんな意識高めな話は他に任せておけばいい。
わたしが一番首を捻ったのが、「モバ充」である。
事の発端は、誤字の多い後輩(以下アオイサバミソ)が
「モババ忘れて鳥に帰りました」
とLINEを送ってきた事だった。
最初は
「鳥に帰りました」
というパワーワードに気を取られていたが、モババとはなんぞや?と次第に疑問を抱きはじめた。
アオイサバミソは誤字が多い子ではあるが、いつもはなんとなく文脈から察することができる。
原型をとどめていない
「んかりましま!(わかりました!)」
であっても、
「(位置情報)たぶんここ」
とわたしが送っているから
「わかりました!」
だとわかる。
しかし
「モババ」
とはなんだろう。
少しスクロールして、ようやく謎が解けた。
イキリキャシー「スマホの充電忘れて死にそう。ポータブル充電器どっかで買いたい」
アオイサバミソ「私のモババ使いますか?持っていきますね!」
イキリキャシー「あ、マジ?!ありがとう!」
この時はオリエンテーション中だったのでそっちに気を取られていたのか、それとも文脈でどうにかしてたのか、何も反応していない。
しかし改めて見ると、非常に耳慣れない単語だ。
「鳥に帰りました」
をきっかけに文章に注意が向いて、
「待ってモババって何?!」
となったのだろう。
そのあと合流して、
「さっき『鳥に帰りました』ってすごい誤字してたよね。しかもモババってクセ強すぎない?」
と聞いてみた。
すると、アオイサバミソは
「え?普通に言いません?モバ充とかも言いますよ」
などのたまった。
わたしは
「ポータブル充電器どっかで買いたい」
と送っているので、モババやらモバ充やら言うわけがない。
正直「モバイルバッテリー」なら言う。
なんならたまたま今回「ポータブル充電器」だっただけで、「モバイルバッテリー」の方がよく使うかもしれない。
確かに、ポータブル充電器はちょっとダサいとは思う。
しかし、モババやらモバ充やらも大概ではないだろうか。
バが連続すると、ババアみたいでなんだか微妙だ。
モバ充なんて、リア充など〜充シリーズの亜種にしか聞こえない。
言う言わないなんて論争は埒が開かない。
それならみんなに聞いてみよう、となったわたしたちは、それぞれSNSの投票機能で聞いてみた。
「モバイルバッテリー、モババとか略す?略さない?」
とりあえずモババで聞いてみたが、モバ充も変わらないだろう。
結果は、
イキリキャシー「略す: 17% 略さない:83%」
アオイサバミソ「略す: 63% 略さない: 37%」
だった。
圧倒的な差を見せつけたイキリキャシーだったが、ここでデータの分析は終わらない。
わたしとアオイサバミソの出会いは統計学の授業。
データの扱いには慣れている。
このデータの問題点は母数である。
母数が少ないイキリキャシーの方が、偏った結果が出てしまう。
フォロワーが多く人望があるアオイサバミソと、人望のないイキリキャシーでは投票者数に3倍ほどの差があった。
というわけで、2人の投票数を合わせたパーセントを出すことにした。
120人以上の人々にご投票いただいた結果、
「略す: 50% 略さない: 50%」
という衝撃の結果になった。
それぞれの投票者を照らし合わせた結果、どうやらわたしの同期は略さないに入れていて、アオイサバミソの同期は略すに入れていることが判明した。
わたしとアオイサバミソは2つ離れているのだが、わたしたちの間の代は半々くらい。
なるほど、わたしの一つ下を境にしたジェネレーションギャップか。
わたしはリア充にもソロ充にもなれるが、どうやらモバ充にはなれなかったみたいだ。